My Erhu 分室 2005/12/31

■駒制作:伊勢原駒研究所 主任研究員 jimmy 
(国家非認定 1級駒制作師・駒デザイン師範代心得)
■実証実験棟:松戸駒研究所 主任測定師 うえちん 
(国家非認定 2級駒測定師・測定師補)

呼称 形状 仕様 コメント 評価
試験体1 ワッシャー・ねじ接着。
鉄・メッキ。
φ7×H6

ややこもった音色。
ミュート感が強く弦の振動が蛇皮に上手く伝わらない感じ。ねじの溝と弦の相性も悪い
試験体2 ワッシャー・ねじ接着。
鉄・メッキ。
φ12×H6.5
やや篭った音色で試験体1より音量が無い。 ★★
試験体3 アルミ合金切削加工。
W11×D9×H9
試験体1・2より大きな音量だがややこもった音色。かなり硬いがそれはそれで良し。 ★★★
試験体4 アルミ合金切削加工。
W12×D9×H8.5
比較的安定した硬めの音色。試験結果では一番良い音が出る。
弦の溝が4つあり気分で選べるが広い方は明らかに駒師の制作ミスと考察される。
★★★★★
試験体5 アルミ合金切削加工。
W12×D7×H10
片持ちで底面積が小さなタイプ。
駒の高さあり、やや不安定感が有るが音色は良好。やや硬めの音色。
★★★★
試験体6 アルミ合金切削加工
W14×D4.5×H8
片持ちで駒高さも低く間口方向に十分寸法が取れている。
開口部が大きく、明るい安物二胡の音色。屋外オフ会で使用にはOKかも、。
★★★

 

考察

まず今回の実験がひどく遅れてしまい関係各位にご迷惑をかけこの場を借りてお詫び申し上げます。

さて今回の実験であるが、伊勢原駒研究所(以下「伊勢研」と略す)から届いた試験体は6つ。

これを松戸駒研究所「実証実験棟」にて駒測定師の手により厳粛しかも厳密に測定。

駒は6つであるがデザイン構造からは以下のとおり3タイプとなる。

【ワッシャー形 試験体1.2】

蛇皮との接触面積が違うタイプ。その辺りにあったワッシャーにねじをエポキシ樹脂で接着したもの。たぶんね、、。

実はワッシャーのため接触面が「ドーナツ状」で中央部は非接触なんだ〜〜。(笑)

その上、弦の振動が物理的に上手く伝わらず、思ったほど音量のコントロールは出来ていない。

しかもねじの「螺旋具合」と弦が上手くなじまず、たまに「ジリジリ音」も出てしまうのだ。ま〜「とりあえずエントリーしました」的検体2種。

【逆T形 試験体3.4】

一般に使われている二胡用駒を工業用アルミ合金の削りだし(専門的には切削)で作製した力作。

ただし通常の二胡用駒よりも接触面積が小さいのね。予想どうりやはり音量は大きくは無いです。でもでも硬い締まった音で好きな感じ。

試験体3は音がちょっとこもりすぎだ。実用には厳しいと判断せざるおえない。

また、試験体4は出色の音色であるが、弦の溝が4つあり、明らかに伊勢研の駒師の作業ミスが露呈してしまった形となった。しかしま〜OKっす。

【L形 試験体5.6】 

間口方向を大きくとり、D寸法を小さくした伊勢研の異色作。

試験体5に関しては試験体4と類似の硬い安定した音色であるが、この駒だけが唯一高さが10oを越えてしまっている。

測定師はこのため駒を付け替えるたびにチューニングしなおすという極度に面倒なことを余儀なくされている。

この「めんどうやん!」的デメリットが明らかに1ポイントの差となって現れてしまった。

また試験体6に関しては間口を最大、奥行きを最小にとった駒師の意欲作と言っていいだろう。

その上音量・音色の改善として中央に大きな風穴を開けている。

駒師の予想どうりかなり明るい音色にはなっているが、微妙に「うすら明るい」「ノー天気症候群」の様相を呈している。

流石に測定師U氏の北京式二胡も「うすら明るくて軽めの上海大量生産練習用二胡」に近い音になってしまった。

やはりここは残念ながら減点となってしまった。



2005/12/31大晦日 松戸駒研究所 実証実験棟にて 

しかし大晦日に掃除もしないで、二胡やったりデジカメ撮ったり、PCやったりで白眼視されつつある私 国家非認定駒測定師。

 <HOME>